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送粉者としてのチョウを考える/坂本亮太・川窪伸光 (岐阜大学・応用生物科学部)
種生物学会 電子版和文誌 第1巻1号 2016年3月
送粉者としてのチョウを考える
坂本亮太・川窪伸光(岐阜大学・応用生物科学部)
「蝶」は花に来る虫として広く一般に知られている昆虫のひとつである。美しい翅の模様やひらひらと舞う「蝶」の姿は強い芸術的モチーフであり,生物科学においても,数多の自然史研究が行われ,生活史をはじめとする「蝶」の世界は広く紹介されてきた。しかしながら,送粉生態学におけるチョウ類の世界は,十分に理解されているとは言えない。なぜなら,自らのルーツを養蜂学にもつ送粉生態学では,古くから主役はミツバチ・マルハナバチなどの社会性ハナバチ類であり,チョウ類が主役となることは少なかったからである。加えて,ミツバチなどのように集約的な採餌を行わないため,多くの訪花観察数が望めず,効率よく花を巡回しているようにはとても見えないチョウ類は,「気まぐれな訪花者」や「忘れられた送粉者」として認識されてきた。本シンポジウムでは,送粉者としてのチョウ類の特徴を議論し,送粉生態学において,ハナバチ類と同じ目線で語ってよい点,異なる視点で語るべき点を明確にし,これからの送粉者としてのチョウ類の位置づけを見出したい。
序 文 | これまでの蝶とこれからのチョウ 坂本亮太(岐阜大学・応用生物科学部) |
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第1章 | チョウの訪花学習 香取郁夫(近畿大学・農学部) |
第2章 | ナミアゲハ網膜構成と視覚機能 木下充代(総合研究大学院大学・先導研) |
第3章 | 蝶型はばたき飛翔の力学的解析 (ひらひら飛行ロボットの実現を目指して) 菊池耕生(千葉工業大学・工学部) |
第4章 | 花の進化におけるチョウの役割を考える 大橋一晴(筑波大学・生命環境系) |
第47回 種生物学シンポジウム
会期 | 2015年12月4日(金) ~ 12月6日(日) |
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会場 | かんぽの宿 岐阜羽島 (岐阜県羽島市桑原町午南1041) 「 送粉者としてのチョウを考える 」 |
【12月6日(日)】 9:30 - 12:00(午前の部) 13:00 - 15:40(午後の部) |
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