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新しい和文誌「植物の超階層生物学」(種生物学研究 43号)を 2023年8月4日に発行しました

お知らせ 2023年08月23日

新しい和文誌「植物の超階層生物学」(種生物学研究 43号)を 2023年8月4日に発行しました。会員の皆様には既に発送しております。

生態学や自然史の研究者に対し、ゲノミクスや分子生物学の技術を紹介することを目的に企画しましたが、豪華な執筆陣にご協力いただき、植物分子・生理学に関する様々な最新トピックを概観できる本となりました。登場する植物もシロイヌナズナ・イネ・タバコなど従来のモデル植物に加え、アズキ・ハワイフトモモ・ソバ・アサガオ・ツユクサ・キャベツ野生種・ウキクサなど多岐にわたります。本書を契機に、マクロとミクロの研究者間で交流が活発化していくことを願って、超階層生物学と冠しました。各章は20-30ページとボリュームがあり、最新研究の着想から展望までを日本語でしっかりと読める貴重な機会かと思います。初学者でも読みやすいように脚注も充実しています。お近くに興味を持ちそうな方がおられましたら、お知らせいただけますと幸いです。
佐藤安弘、村中智明(責任編集)


植物の超階層生物学
ゲノミクス×フェノミクス×生態学でひもとく多様性
種生物学会 編/文一総合出版

【目次】(敬称略)
第1部 ゲノミクス編:ゲノムを読んだら何がわかる?
 第1章 ゲノム解読技術の発展と,野生アズキの耐塩性研究(内藤健)
 第2章 ゲノム情報から迫るハワイフトモモの種内多様化プロセス(伊津野彩子)
  コラム1 反復配列・トランスポゾンとその検出(伊藤佑)
 第3章 植物の雌しべが花粉を選び分けるしくみ(藤井壮太)
 第4章 大量ゲノム情報時代の植物育種(矢部志央理)

第2部 フェノミクス編:植物を調べつくす方法
 第5章 なぜ青いバラは咲かないのか-アントシアニンによる多彩な花色の発現機構-(吉田久美)
 第6章 接木の科学によって,技術をさらに使いこなす(野田口理孝)
 第7章 赤外分光法によるヤセイカンランのクチクラの構造解析- 物理化学者による非破壊計測の試み-(羽馬哲也・関功介)
  コラム2 クチクラワックスを介した花芽防御機構の標高分化- 春先のマイルドな凍結ストレスへの繁殖器官の適応-(湯本原樹・工藤洋)
 第8章 作物生産科学におけるC3型個葉光合成とその変動光応答(田中佑)
 第9章 ウキクサを光らせて概日時計を視る(村中智明)

第3部 ノウハウ編:こっそり教えるテクニック
 第10章 植物におけるゲノムワイド関連解析の落とし穴(山本英司)
  コラム3 倍数体ゲノムのバイオインフォマティクス(畠山剛臣)
 第11章 植物3次元形態のデータ化,定量化,モデル化(野下浩司)
  コラム4 画像情報に基づく植物・植生の判別とその発展 -深層学習による技術発展を中心に-(渡部俊太郎・大西信徳・伊勢武史)
  コラム5 ゲノム解析の前提となる分子生物学の基礎知識(村中智明)